| メ イ ン ペ ー ジ |
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| みなさんとナース休憩室で雑談するような気持ちでつれづれに書いていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。(小林光恵) |
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道路工事や建築工事。それらが発する音は仕方ありません。しかし、ガン、ガン、と頭の中に響いてくるような音が鳴り続けていると、正直、嫌になってきます。体調が万全でないときなどは、イライラしてくることもあります。 増改築などで建築工事をしている病院が少なくありません。病院だから特別に工事音を小さくするなどはできないようで、先日、某大学病院の外来受診をした際には、ガン、ガンという建築工事音の大きさに思わず耳を塞いでしまいました。 神田修二さん(70歳)は、某病院の個室に入院中です。 この病院では、敷地内に新しい棟を建築中で、そのために日中は大きな工事音が、神田さんの病室にも響きます。ときにそれらの音は、神田さんの隣の病室の患者さんが、「大きな鐘を鳴らしながらズシンズシンと大魔神がこちらに歩いてくるような気がする」とナースに訴えるほどの大きな音になります。 三日前の午後、神田さんの病室に看護師長代行のGさんがやってきて、今後の相談などをしていました。そこに、工事音がガンガンガンと鳴りはじめたのです。Gさんは眉をひそめて神田さんに言いました。 「たいへん、申し訳ございません。あと数日で大きな音がする工事は終了します。いましばらく御辛抱のほどお願いいたします」 神田さんは元々無口なタイプですが、脳卒中により、しゃべりづらい状態になり、ますます言葉少なくなり、入院生活ではほとんど自分から話すことはありません。このときも、ベッドに寄りかかって座位になり、正面を向いて黙ってGさんの話を聞いていました。彼女が付け加えます。 「このたび、当病棟では、耳栓を貸し出すこととなりました。よかったらお持ちしますので、お申し付けください。こんな音、たのしいと思う人など誰一人としていないと思います。嫌になってしまいますねえ。ほんとに申し訳ございません。それでは失礼いたします」 そう言って頭を下げてGさんが退出しようとしたそのときです。神田さんは、ネスカフェのインスタントコーヒーの粉が入ったビンを右手で掴み、憮然とした表情でそれを鉄製のベッド柵に打ちつけはじめたのです。ガン、ガンと、外からの工事音のリズムに合わせて。 Gさんはあわててベッドサイドに戻り、 「あの、おやめください。ほんと、工事の音はストレスですよね。耳栓、いま、耳栓をお持ちしますので、どうか、それで御辛抱ください」 と話すと、神田さんは手を止め、 「いらん、耳栓はいらん」 これ以来、神田さんは、思い出したように、ガン、ガン、とコーヒーのビンでベッド柵を叩くようになったのです。昼間の工事を行っている時間帯は、たとえ神田さんがガンガン叩いていても、病室に入らなければ気づかないほどなのですが、シーンと静まり返った真夜中にガン、ガンをやりだすこともあり、それが聞こえるとスタッフは病室に飛んでいくという日々になりました。 |
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