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みなさんとナース休憩室で雑談するような気持ちでつれづれに書いていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。(小林光恵)
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「イラスト:影山直美」
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第26回
 「大丈夫?」の意味

                          @ → A

 某病院の個室病室。
 昼食を済ませ、ベッドに横たわる50代後半の男性Aさんが、思いつめたような表情で、窓の外の梅雨空に目をやり、溜め息をつきます。病気のことではなく、新人ナースの吉永さんのことが気になっているのです。

 ことのはじまりは昨日の午後です。Aさんの妹さん二人が彼のお見舞いにやってきました。Aさんは三人兄弟で、彼が長男、そして長女、次女の構成です。長女と次女の二人は、病室が個室でほかの人に気兼ねがいらないことや、Aさんが回復し数日後に退院と知って心配がなくなったこともあり、Aさんそっちのけでおしゃべりに熱中。長女は仕事の関係で看護について事情通です。
長女は次女にレクチャーするように言いました。
「今はね、病院に就職した新人看護師さんの11人に1人がね、1年以内に離職しちゃうのよ」
「へえ、それ、辞める人が多いってことよね。せっかく資格とった人たちがどうして? 」
「理由はひとつじゃないけど、学校での看護基礎教育を終えた時点の能力と、現場で求められる能力に大きなギャップがあるってことが理由のひとつなの」
「ん?どういうこと?」
 「つまり、基礎看護として習った、基本的なベッドメーキングや血圧測定などはバッチリできるわけだけど、たとえばこないだ兄さんがここで受けたような骨髄穿刺の説明と検査の介助とか、人工呼吸の準備と方法といったような技術は一人では実施できないという調査結果だったわけ。医療の高度化で、やることが多岐に渡っているから、看護師の3年間だけの教育では追いつかなくなっているのよ。でね、聞いてよ、看護の基礎教育だけがね、50年以上変化していないのよ!」
「ほかの医療者は?」
「さすが我が妹、いい質問ね。医師は医学教育6年プラス卒後臨床研修2年の計8年、歯科医師は教育6年プラス卒後臨床研修1年で計7年、薬剤師は教育4年プラス専門教育2年で計6年! 看護師は医療従事者として、医師、歯科医師、薬剤師と医療法に併記されている職種なのよ! だから看護師基礎教育も年限延長が絶対に必要なの!」
 すでにフィリピンでは大学4年制を実現し、タイでは100%の学校を4年制大学にし、韓国では大学4年制化に向けて調整中です。日本にも4年制の看護大学はありますが、国家試験受験資格は3年で得られるのです。
「たしかに、看護師さんだけ短いかもねえ」と次女。
「そんな呑気な言い方しないでよ! 看護師さんはね、学生時代に、ろくに寝ないで試験勉強や実習やレポートでがんばって免許を取る。そして希望に燃えて病院に就職してみたら、いきなり高度な業務が山盛りで、自信を喪失し、不安のかたまりとなって、医療事故を起こすんじゃないかというプレッシャーがすごくてたいへんなわけ!」
「それは気の毒。うちのユウカに進路変更しなさいって言おうかしら」
 次女の中一の娘さんは、看護師への道を希望しているのです。

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