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第18回
 ナースになりたい女子高校生

                          @ → A

 「看護大の受験やめて、別の大学の文学部とかを受けることにする!」
 高校三年生のユミさんは、9月はじめの朝の食卓で、両親にそう宣言しました。お父さんが目を丸くして言います。
「なにを言い出すんだ。何度もユミに意志確認したじゃないか。それでも看護師になる、本気だっていうから応援することにしたんだぞ。それにいまの時期、大幅に進路を変えたら受験にも不利だろ」
「でも、変える。悩んだ挙句の結論。私、看護師に向いてないみたいなの。だからたとえなれたとしても、いい看護師にはなれないと思う。もう決めたの。今日、担任と進路指導の先生に話すから」
 唖然としている御両親にユミさんは「ごちそうさま」と小さく言って席を立ち、高校へ向かいました。
 事の発端は、八月のはじめにありました。夏休み中のユミさんは、イギリスに留学中の親友美穂さんの祖母の多恵さんを訪問。多恵さんは美穂さんの御両親が北海道に転勤した関係で、現在は有料老人ホームに入所中です。そこはユミさんの高校から遠くない場所にあり、ユミさんはたまに訪ねているのです。ユミさんは80代とは思えない若い感覚の多恵さんが大好きだったし、親友の美穂さんに「ときどき顔見に行ってね」と言われて、しっかり頷いたのを忘れていませんでした。
 ユミさんと多恵さんが話していると、多恵さんの携帯電話がなりました。着信音はトルコ行進曲。孫娘の美穂さんが選んで設定した曲です。
 どうやら間違い電話のようで、多恵さんがユミさんに言います。
「着信音、ものすごく元気な曲でしょう。せっかく美穂が選んでくれたんだけど、なんだか、けたたましくてねえ、もう何年もこの曲なんだけど、これが鳴るとびくっとしちゃうのよね。美穂がいれば、違う曲にしてもらうんだけどねえ…」
「じゃ、よかったら、私が変更しましょうか」
「うん、お願い!」
 そうしてユミさんは、多恵さんの携帯電話の着信音を、多恵さんに相談しながら変更したのです。今度は、曲ではなく、しずかに低く「ブー、ブー」となる音にしました。多恵さんはその音が気に入ったようでした。
 それから二週間ほど経った八月下旬のある日、ユミさんに親友の美穂さんから国際電話が。
「ユミ、あなた、看護師に向いてないね! 看護師にならないほうがいいよ」
「えっ…」

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