| メ イ ン ペ ー ジ |
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お母さんは、バッグからハンカチを取り出し、口を押さえます。 それを見ていた男の子は、心配でいてもたってもいられなくなったらしく、いきなり立ち上がったかと思うと、何かを思い出したかのようにまた座り、カバンの中をごそごそとやり、iポットというのでしょうか、音楽を聴く器械のイヤホンを自分の耳にあてます。<音楽を聴いて自分を落ち着かせようとしているのかな>と思いましたが、それはハズレだったことが次の瞬間にわかりました。 彼は、しばらくイヤホンをつけて器械を操作していましたが、それを外してお母さんにこう言ったのです。 「お母さん、曲聴いてみない? ボクさ、この曲聴くとスカッとするから。もしかしてお母さんにも効くかも」 お母さんは「え?」と言って目を丸くしましたが、「じゃ、聴いてみようかな」と応えて微笑みました。 男の子は、お母さんの耳に丁寧にイヤホンをつけてやり、スイッチを入れました。 某駅に到着すると、二人は降りていきました。降りる直前、曲を聴いているお母さんをちらちらと見て気にしながら、男の子は財布を取り出し、中身を確認しました。 車中から、ホームに降りた二人を見ていたら、男の子は真っ先に自販機の前に行き、コインを入れていました。これもやはり、自分のためではなく、お母さんに飲ませるためのもののようでした。お母さんの顔色は少しよくなっていました。 以上、男の子なりのケアの様子に心和んだひとコマです。 私が中学生になったばかりのころ、不注意でオデコにコブを作ったことがありました。そのとき、隣の席の男子が「これ、つけていいよ」と密かに渡してくれたのは、小さな乳液びんでした。女性用化粧品の試供品でした。「せっかくだけど、いいや」と返してしまいましたが、気持ちは嬉しかったのを覚えています。 |
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