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「イラスト:影山直美」
 原案『小林光恵』
ナースマンがゆく
テレビ放映12月11日終了!

小林光恵さんの
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第11回
 ナースを辞める?

                          @ ← A

 最近、ナースの早期離職率の高さが新聞にも取り上げられるなど問題になっています。
「それでアツコが、<だから、父さん、病院辞めようと思うんだけどいいよねって>言うんだ。困っちゃったねえ。オレも会社では管理職だろ、一年目の社員がそう言い出したときの対応は心得ているつもりだ」
「でも、娘は別なのね」
「そう。可哀相で可哀相で、<辞めたあとのことをきちんと考えているならいいだろ>って言った。そしたらアツコ、<しばらく火星、つまりマースに滞在して充電してきたい>って言うんだよ。火星だなんて、<なにもそんな遠いところに行かなくても>と言ったら<実はもうチケット取っちゃったの>って言うんだ」
「火星ねえ、ふふ」
 火星って一体……。話が急におかしなことになっています。それに、となりの女性も驚いている様子がなくておかしい。
 と、そこへ、店に若い女性が颯爽と入ってきて、例の男女の向かいの席に座ります。
「どうしたの? 急に出てきちゃって」と若い女性。
「ごめんね、アツコ、急に呼び出したりして。父さんね、アツコが泣きながら電話してきて、もうボロボロだから病院辞めるって話す夢を見たって言うの。正夢だったら大変だから、様子見に行きたいって言ってね」
「それで夫婦揃ってやってきたの?」とアツコさん。やはりご夫婦だったようです。
「そうなの。母さん、止めたんだけど、父さん、絶対行くって」と奥さん。
「父さん、大丈夫だよ。大変なのは大変だけど、辞めるつもりはないし」とアツコさん。
「あら、お父さん、涙ぐんじゃって。余程安心したのね」と奥さん。
 感極まったのか、アツコさんがきてから一言も言わない(あるいは言えない)男性でした。
 彼らの話を聞き終えると、もうずいぶんな時間になってしまい、結局は読書しないまま私は店を出ました。
 それにしても、男性の夢の中で、アツコさんが泣きながら言ったという、ボロボロになった理由が非常にリアルでした。正夢ではなく、アツコさんの、言葉どおり大丈夫であってほしいです。

小林光恵

新刊『ケアとしての死化粧ーエンゼルメイク研究会からの提案』
小林光恵 こばやしみつえ
小林光恵のホームページ http://www02.so-net.ne.jp/~n-three/

 茨城県生まれ、東京警察病院看護専門学校卒業。看護婦として東京警察病院、茨城県赤十字血液センターに勤務。その後編集者を経て独立。現在は執筆を中心に活動している。
マンガ 『 おたんこナース 』、日本テレビ系列 『 ナースマン 』原案者。
著書に 『 ナースのおしゃべりカルテ 』(幻冬舎文庫)、『 12人の不安な患者たち 』(集英社文庫)等多数。


小林光恵 新刊
『ケアとしての死化粧―エンゼルメイク研究会からの提案』(日本看護協会出版会)

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