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「イラスト:影山直美」
 原案『小林光恵』
ナースマンがゆく
テレビ放映12月11日終了!

小林光恵さんの
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第9回
 夜勤メイクいろいろ

                          @ ← A

 姉のリツコさんの理由。
 ある高齢の男性患者さんが、リツコさんにいつもこう語っていたそうです。
「わたしの最期のときには、ぜひ辻さん、あなたにいてほしいんだ。約束してほしい」
 先日、いよいよその男性の容態が悪くなり「もしかして今夜危ないかも」という状況となり、リツコさんは看護師長に頼みこんで、他のナースと交替までして深夜勤務についたのだそうです。いつものノーメイクで。
 しかし、その患者さんは、リツコさんがいくら「辻です」と言っても、「あんたは辻さんじゃない。だまさないでくれ」と言って、最後までリツコさんをリツコさんだとわからなかったというのです。リツコさんは、よくよく考えてみると、彼はリツコさんの夜勤時の顔すなわちノーメイク顔を見たことがなかったことがわかったそうです。リツコさんは、最期にその患者さんに寂しい思いをさせてしまったことを悔み、以後、夜勤時も昼と同じようにメイクするようにしたそうなのです。
 一方、妹のマユミさんはというとーー。深夜勤務の午前三時の見回りの際、もうすぐ退院のモデル業の若い男性にこう言われたのだとか。
「夜中なのにバッチリメイク? そこまでして、男の気を引こうとしなくても」
 マユミさんは、たとえ夜であろうと勤務は勤務で、身だしなみはきちんとしておかなければ患者さんや同僚に失礼だと考えてメイクをしてきたのに、患者さんの中にはそんなふうに思う人もいるのかと情けなくなり、誤解されるのが嫌なので、以後、一切夜勤ではメイクをしないと決めたのだそうです。
 看護の現場には実にいろんなことがあるものだ、と改めて思った次第です。

小林光恵

新刊『ケアとしての死化粧ーエンゼルメイク研究会からの提案』
小林光恵 こばやしみつえ
小林光恵のホームページ http://www02.so-net.ne.jp/~n-three/

 茨城県生まれ、東京警察病院看護専門学校卒業。看護婦として東京警察病院、茨城県赤十字血液センターに勤務。その後編集者を経て独立。現在は執筆を中心に活動している。
マンガ 『 おたんこナース 』、日本テレビ系列 『 ナースマン 』原案者。
著書に 『 ナースのおしゃべりカルテ 』(幻冬舎文庫)、『 12人の不安な患者たち 』(集英社文庫)等多数。


小林光恵 新刊
『ケアとしての死化粧―エンゼルメイク研究会からの提案』(日本看護協会出版会)

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