| メ イ ン ペ ー ジ |
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姉のリツコさんの理由。 ある高齢の男性患者さんが、リツコさんにいつもこう語っていたそうです。 「わたしの最期のときには、ぜひ辻さん、あなたにいてほしいんだ。約束してほしい」 先日、いよいよその男性の容態が悪くなり「もしかして今夜危ないかも」という状況となり、リツコさんは看護師長に頼みこんで、他のナースと交替までして深夜勤務についたのだそうです。いつものノーメイクで。 しかし、その患者さんは、リツコさんがいくら「辻です」と言っても、「あんたは辻さんじゃない。だまさないでくれ」と言って、最後までリツコさんをリツコさんだとわからなかったというのです。リツコさんは、よくよく考えてみると、彼はリツコさんの夜勤時の顔すなわちノーメイク顔を見たことがなかったことがわかったそうです。リツコさんは、最期にその患者さんに寂しい思いをさせてしまったことを悔み、以後、夜勤時も昼と同じようにメイクするようにしたそうなのです。 一方、妹のマユミさんはというとーー。深夜勤務の午前三時の見回りの際、もうすぐ退院のモデル業の若い男性にこう言われたのだとか。 「夜中なのにバッチリメイク? そこまでして、男の気を引こうとしなくても」 マユミさんは、たとえ夜であろうと勤務は勤務で、身だしなみはきちんとしておかなければ患者さんや同僚に失礼だと考えてメイクをしてきたのに、患者さんの中にはそんなふうに思う人もいるのかと情けなくなり、誤解されるのが嫌なので、以後、一切夜勤ではメイクをしないと決めたのだそうです。 看護の現場には実にいろんなことがあるものだ、と改めて思った次第です。 |
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