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こちら、ナース休憩室別館
みなさんとナース休憩室で雑談するような気持ちでつれづれに書いていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。(小林光恵)
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「イラスト:影山直美」

小林光恵さんの
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第4回
 三と二分の一回の寝たふり

                          @ → A

 Bさん(47歳・男性)は、肝臓を悪くしてこの夏に2週間ほど内科病棟に入院しました。
 その間に彼は、三と二分の一回寝たふりをしたそうで、それをBさんは、居酒屋でウーロン茶を飲みながら語ってくれました。

 一回目の寝たふりは、入院して三日目の午後二時過ぎ。Bさんの病室(四人部屋)にナースが入ってきて、廊下側の患者さんから検温を開始。Bさんはそのナースの声をカーテンごしに耳にして、
<今日は、あの、つっけんどんナースのQが検温係りかよ。やだやだ>
と、心の中でつぶやき、タオルケットを頭まですっぽりかぶり寝たふりを決め込みました。ナースQは、Bさんのベッドサイドにやってきて何度かBさんの名前を呼び、彼の顔を覗きこんだあと、彼の検温をあきらめて、次の患者さんの検温へと移動したそうです。
 このときのことを振り返り、Bさんはいいます。
「緊急入院したときの担当がこのQという人だったの。ぼくは、仕事が忙しい最中の入院という事態にイライラしていたし、あんなに体調悪いのははじめてだったし、なんだか、彼女の顔見ただけでむっとしちゃってね。それと、彼女の物の言い方がすごくつっけんどんな気がして、苦手な人だと思った。実は午後の検温では、一日分の尿と便の回数をナースに伝えなければならないのに、この日は、うっかりカウントを忘れちゃってたから、それを言うのも嫌だったし」

 二回目の寝たふりは、入院七日目の夕方。横になっていたBさんの耳に、廊下から耳慣れた声が届いたのです。小さいときからのBさんの喧嘩相手である従兄弟の声でした。従兄弟がナース相手に大声で、
「あいつは子供のときからバカでねえ、酒も丁度いい量でやめるということを知らないんですから驚いちゃいますよ、それで病気になってんだから世話ないや、ハハ」
と話しているのが聞こえてきてむっとしたBさんは、ベッドサイドにやってきた従兄弟がどんなに呼びかけても寝たふりを通したそうです。
 Bさんはいいます。
「このとき、あいつがなにかで入院したあかつきには、見舞いに行って、思いっきりけなしてやると決めました。リベンジです。そのためにはしっかり安静にして治療を受けて元気になんなきゃってね、気合が入りましたよ」


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